令和5年3月31日(金) 小牧:曇り 札幌:雨のち晴れ 長万部・苫小牧:晴れ
本日有休日。県営名古屋空港すなわち小牧飛行場より、8時発FDA391便札幌丘珠行にて出立す。当空港は改札を抜け直接滑走路に赴きてタラップより搭乗。他の空港と異なり軽便にて鉄道の乗車の如し。小牧-丘珠線は今月27日より通航して日浅し。しかるに平日ながら座席は全て埋まれり。春休み故か子連れの乗客多し。定刻8時にタラップ離脱。乗機は誘導路より滑走路に出で、8時10分に恙無く離陸せり。5年ほど乗っていない飛行機にて、忘却していた離陸時の勢いと圧迫感を覚醒す。水平飛行に移りて機長の挨拶あり。機長曰く当機は新潟上空に在りて佐渡島が見えたりと。先夏に新潟市へ赴き砌は自動車で5時間を要したところ、飛行僅か半刻で至りたり。窓外にて眼下の佐渡は山々頂きに雪を冠す。この後は眼下に雲海広がりて、地上の様子を見ること能わず。飛行1時間半余り、10時40分に雨天の丘珠空港すなわち札幌飛行場へ着陸す。接地の刹那、衝撃強し。続いて急制動を掛けるも、濡れたる路面にてスリップし些か肝を冷やせり。小牧と同じくタラップより降機す。雨天にて空港職員より傘を借り、滑走路を暫し歩きて空港本屋に至る。機中に預けた荷物を受け取り、そのまま出口にて待ち受けたる札幌駅前行の北都交通バスに乗車す。こちらもまた至極簡易軽便なり。丘珠空港は平成2年8月以来2度目にして曾遊の地ながら、前回は到着が日没後のためか記憶薄し。鉄道で名古屋より東京を経由し、青函隧道を潜りて渡道後に函館より丘珠まで敢えて乗りたり。18時発の最終便にて、満席の通路側席だったことも手伝い、乗機が既に稀有なYS-11ということの他、窓外の眺望に左程記憶之無。今より三十有余年前の閑話休題なり。バスは小牧より到着せる乗客を持ちて定刻より15分ほど遅発す。新千歳空港と異にし、丘珠空港は札幌市東区に在り。因って市街地を走れば、奇遇にも都市の設計者が同じ故か、窓外は名古屋市内瑞穂区近辺と変わらぬ印象なり。誰とはなしに「名古屋と変わらんがや」とは蓋し至言と言うべし。10時35分札幌駅前到着。凡そ30年前の駅前とは大いに変貌せり。駅舎も周囲の建物も建て替えられた模様にて、もはや今浦島の如し。当時宿泊した駅前の八重洲ホテルを探せども不明なり。しかのみならず道都に在る駅なれど、駅前を歩く人の数は多からず。低く垂れ込めた雨雲が陰鬱な色を醸し出して、余計に寂しき景色と為すせいか、盛夏の時期と比肩して余計に寂しき景色を映せり。軒下にて雨を避け、暫し眺めたる景観に甚だ当惑の感を抱くのみ。