令和6年8月14日(水)

令和6年8月14日(水) 晴れ
 7時出立。三河方面へと進めるが、取り立てて目途無之。途上の餌屋で石沙蚕を贖ひて後、県境を越えて静岡県へと足を延ばせり。浜名湖今切口を跨ぎても未だ判然とせず。天竜川を越えて意を決し、河口の船溜にて漸く進行を止めたり。鯊を釣らんと欲せども、遠州灘より潮が差し込みたるを見て翻意す。鯊は後の事と、黒鯛竿を取り出し、幾度の釣遊で使わぬ儘に残れる岩蟹を携え、前打ちで黒鯛を釣らんと俄かに思い付きたり。元より容易き相手に非ず。気が済めば鯊を釣らんと、本流より分岐して船溜まりに挿し込みし潮上へと餌の岩蟹を投入す。流れ速し。床に岩蟹を保たんと試みるも、恣にはならじ。潮の緩みたる岸際にて漸く蟹が床に留まりし。刹那、穂先が水面下へと没したり。締め込みに堪えて網へと収まりたるは38糎の黒鯛なり。外洋育ち故か燻銀の体色は、照りを伴いて仄かに艶めかしき。斯くして鯊釣りを忘却す。手持ちの岩蟹が悉く尽きる13時迄に、42糎を頭に7枚の黒鯛を確保せり。未だ時合続きしも、餌の岩蟹が払底しては如何とも為し難し。甚だ稀有な邂逅故、残り少なき後ろ髪を引かれつつ、踵を返し帰途へと就きたり。明日も亦、此処に至らんと決す。途次に終業後の川井氏と合流。持ち帰りし黒鯛1枚を進呈せり。