令和5年4月8日(土) 

KODAK Retina Ia Schneider-Kreuznac Retina-Xenar 50mm/f3.5 -1951-

KODAK Retina Ia Schneider-Kreuznac Retina-Xenar 50mm/f3.5 ILFORD XP2 super 400

令和5年4月8日(土) 奈良 曇り時々雨一時晴れ
 4時半起床。思い立ちて奈良へと出立す。前日の雨で肌寒し。外套を羽織れり。ついでにレチナ(Retina) Iaなれば外套のポケットに入れても左程は邪魔にはならずやと、防湿庫より本機を取り出して携行す。本機は先日、数千円の廉価で店頭に出されしを入手せり。今更ながらレチナと思いつつ、つい手を伸ばしたる本機なれど、子細を確かめたところ撮影機構に不具合は見当たらず。ただ一点、フィルムカウンターが動かぬのみ。四半世紀近く前の熱狂ともいえしレチナブームならば、目測式と雖も恐らく数倍の値は付けられし。カウンター不動は致命的な欠陥に非ず。これも何かの縁と購えり。未だ人気を保てる大型のIIIcと異なりて、レンズを畳めば袖珍の如し。閑話休題、往路恙無く午前9時現地着。奈良は屡々訪れしと思うも、この地に来るは既に15年前なり。しかのみならず偶々奈良駅で寸刻下車したのみ。平成3年7月、高校の写真部で撮影旅行に訪れしがまともな機会と記憶せり。然らば当時回りし通りに復た往かんとぞ思いて、東大寺大仏殿を嚆矢に三月堂、二月堂、正倉院、興福寺を企図したれども、二月堂より正倉院へ移りし折、雨が降り出して断念。慌てて駐車せし車へと戻りて傘を持てり。正倉院は省きて興福寺へ行くつもりのところ、まだ早き時間にも拘わらず、殊に異邦人客多し。人だかりの多さに辟易して踵を返す。次に近鉄西大寺駅より北西の秋篠寺を目指したり。当時は訪れぬ古刹なれど、余人少なし。殊に雨の日なれば閑静にて、苔生したる庭は観るに足ると仄聞す。周辺路地狭し。迷いて11時過ぎに到着。先ほどは俄か雨の由にて、空は晴れ間あり。然るに10台ほどの駐車場は満杯にて、暫し俟つも空く気配は非ず。止む無く断念す。代わりに西ノ京の薬師寺へと、その進路を変針したり。正午のサイレン鳴るを聞きつつ薬師寺に到達せり。薬師寺と近くの唐招提寺は撮影旅行でまとめて訪問せしにて、当時の順路に復す。こちらは中心部より遠ければ、参観せる人は少なし。金堂にて薬師三尊像を観ゆ。白鳳時代の国宝にて、当時も目にせし筈ながら、むやみに蒸し暑き日との記憶の他は無之。続いて唐招提寺をと思うところへ再び降雨あれば、弛緩ありて参観は止したり。昼餉後、未だ降雨強し。当時の顰みを倣い、橿原の甘樫丘へ登りて〆とせる心算なれど、雨で泥濘む道を苦吟し丘へ登りても展望は能わず。これにて帰路へ就けり。復路も恙無し。途中ラボに寄りて、本日撮影済みフィルムの現像を依頼せり。1時間ほど後にネガを受領す。19時頃に帰着。帰宅早々撮影の如何を確認す。1951年製の古典機と雖も、本機に搭載せし堅牢なるシンクロコンパー(Synchro Compur)のシャッター、絞り機構に異常は之無。シュナイダー製クセナー(Xenar)50mm/f3.5のレンズもまた無謬なれば、目測式たる所以にて深めの被写界深度、すなわちパンフォーカスながら、諸般の条件を相組合せし帰結の精緻な描写は健在たり(もっとも本機のテストに成りしか否かは疑問なり)。 但しフィルムカウンター不動の故、本日は撮影途次にて枚数を失念す。意図せぬところでフィルム切れを出来せり。次の折は数取器を携えて撮影枚数を正確に把握すべし。