令和6年1月3日(水)

令和6年1月3日(水) 曇り一時晴れ
 某所にて鱮釣り。漸く明るさを増せる7時過ぎより開始す。当初目論見の場所は鱮どころか外魚すら皆無なり。地点甲を嚆矢に乙、丙、丁、戊と回るも同じく気配は無之。此の地で竿を出すは凡そ十年振りなれば、冬場に付く鱮の場所を掴めむこと叶わず。斯様な仕儀は野釣りの常と思いつつ、宛ても無く徘徊せるに、ふと細流を目に留めたり。幅5尺に満たず、水深も4乃至5寸程、水色透明にして、仮令鱮を見出したりと雖も釣りを為すに能わず。但し導水管より細流へ落水の箇所のみ、底が抉れ窪みて尺余の水深有之。目を凝らさば、落水の奔流に平たき魚の気配を視認す。物は試しと落水せる箇所へ仕掛けを投入せり。軽き沈り仕掛けは水勢に負け流されるも、錘が底に辿り着きて、歪曲せる道糸が伸びし刹那、5連の糸浮子がツツッと横へ転移す。穂先を軽く上げ訊くと、1寸前後の薔薇鱮を釣り上げたり。鱮の付き場は此処なるやと安堵す。1時間許りで〆て26匹を掛け、十年の忘却を詫び、鱮と久闊を叙したり。午後より雨の予報なれば、11時過ぎに現地を発す。恙無く帰途へと就きたり。