阿房の釣り通ひ」カテゴリーアーカイブ

令和6年3月16日(土)

令和6年3月16日(土) 晴れ
 6時解纜の金山渡船で四日市一文字堤へ渡堤。同船は落とし込み師3名のみ。先回は大勢乗り込みし疑似餌釣り師は皆無なり。海は凪に近し。気温既に7度有之。指先も痛からず。渡堤後、6時半前より中堤方面に沿いて開始せり。穂先を叩ける当たりで早早に18糎の笠子を確保。孕みなれば海へと放てり。続いて20糎の筍眼張を鉤掛けるも、彼の魚は食味宜しからず。因りて亦も放つより無之。暫し当たり遠ざかりて、中堤半ばへと歩を進めたり。9時過ぎ満潮の小潮にて、潮位高しと雖も、低き内側の堤上へ潮を浸す程には至らず。長靴を用意せるも杞憂に終われり。9時半頃、潮動きて20糎の笠子が鉤に掛かれし。之を契機に良型の笠子を続けて確保す。10時半納竿。内8匹を持ち帰り、帰宅後に悉く煮付けたり。一晩寝かせし煮付けは、中中の滋味にて深し。三日に亘り笠子を堪能せり。

令和6年3月10日(日)

令和6年3月10日(日) 晴れ
 3時半出立。往路途上、西尾市の渚屋釣具店で岩虫を購いて後、5時過ぎに一色港へ到着す。6時半解纜の西尾市営船で佐久島へ渡島。同島東港で下船し、北港入ヶ浦突堤へと移動す。突堤基部へは磯際を伝うより行き付く他は無之。満潮より些か下げ気味乍ら潮位未だ高し。荷物を伴い深みを避けつつの移動は、防水の胴付長靴を装うと雖も、細心の注意を要せり。加之、崖際の枝葉も妨げとなりて甚だ難渋す。漸く突堤上へと上がりて、内側の敷石隙間へ贖いし岩虫を落とし込めば、当たりて鉤掛かりせるは、悉く掌大の筍眼張のみ。9時半の納竿迄に釣れし数は二十を下回らず。鮎魚女は疎か笠子も皆無。全て海へと放ちたり。帰路は潮引きて露出せる磯を歩み能うれば、安気にして危殆を覚えず。東港10時10分解纜の戻り船で一色港へと帰還す。凪の往路と異にして、復路は波高く船体は上下に揺れし。帰途に伊藤釣具へ寄りて外池で竿を出すも、釣れしは季違いの鱮のみで閉口す。15時過ぎ納竿。遂に鮒は鉤掛かりせず。斯くして本日は外魚日和となれり。

令和6年3月9日(土)

令和6年3月9日(土) 晴れ 風強し
 先週に引き続き強風に就き、長命寺川での本諸子釣りは断念せざるを得ず。代わりに四日市沖一文字堤へと思うも、渡船は荒天を理由に休航との由。波浪高ければ如何とも為し難く、思案の末、餌の岩蟹とゼンボを携えて清水へと赴きたり。6時前より巴川河口近辺より開始。本日大潮にて、清水港満潮時刻は5時半なれば、未だ潮は動く気配非ず。風は轟轟と強し。畝り有之も、底すら視認叶う程の透け潮なり。然れども薄暗き今ならボタへ寄りし黒鯛を仕留めらるる公算は高し。而してゼンボを餌に岸壁の際へ目印仕掛けを落とし込みたり。4投目で着底間際に止め当たりを発す。刹那に合わせるも、黒鯛は噛みて直ぐ吐出せるか、潰されたゼンボのも虚しく海中より返り来るのみ。黒鯛は寄りたると確信し7時半迄で落とし込み続けるも、爾後は当たり無之。已む無く折戸湾奥部の村松運河へと転進す。此方も風強く、普段は静謐の湾奥と雖も波気著し。船溜にして水深浅き場所なれば、目印仕掛けを外し、餌を岩蟹に代えて、船下或いは前へと打ち込みたり。潮の引き足速く、潮位は既に低くなりて水深は2米余。波と濁りを頼りに一帯を探り巡るも、一度穂先を叩く当たりで蟹を割られた以外、黒鯛を鉤先へ掛けるに能わず。9時半納竿。更に用宗港へと転移し、外魚の遍羅を釣り上げたるのみ。11時に焼津港の「かどや」で早めの午餐を済ませて西進。午後は吉田港湯日川河口に於いて、夕刻の満ち潮と共に遡上せる黒鯛を待ち受けるも、一向に気配皆無の儘、17時前に虚しく納竿となれり。春未だ浅き折に当たり坊主を逃れらるるは僥倖ぞと思いて云爾。

令和6年3月3日(日)

令和6年3月3日(日) 晴れ
 師崎港6時25分解纜の始発船で篠島へ渡島。潮汐は小潮にて満潮は凡そ9時半なれば、丁度潮の差し始まる頃合いなり。而して目論見たる釣り場は篠島西南端の磯場に有之。乗船場より徒歩1時間弱を要す。好時合を逃すまじと、底冷え著しき早朝に、独り大汗を流して某(地名不詳)磯場を目指したり。途上、沖合へ目を転ずるに、野島左後方で微かに浮かべる神島を遠望す。7時半、隘路を進みて恙無く到達す。既に潮は満ちて磯場を浸つつ有らば、急ぎ支度を整え、急深の駆け上がりを狙いて竿を出すも、案に相違して水深無之。更に前へと歩みを出さんと欲しても、既に潮が浸し来たれば之も叶わず。鋲付き防水長靴を携えざるは甚だ不覚なり。漸く辿り着ける磯場と雖も、斯様な仕儀にては転進已む無し。踵を返して次の場所へと歩みを進め、砂浜脇の磯場へと辿り着きたり。潮満ち竿下でも水深十二分に之有。昨日残りし青磯目を投じた刹那、穂先入りて合わせを入れなば、暫し抗いて後、海面より姿を見せし良型の筍眼張を確保す。長寸21糎。惜しむらくは旨味に劣りし。然れば早早に海へと放ちたり。爾後、掌大の笠子等を掛けるも、遂に鮎魚女は姿を現さず。9時半納竿。10時20分解纜の戻り船で篠島を後に帰途へと就きたり。

令和6年3月2日(土)

令和6年3月2日(土) 雪のち晴れ
 気温3度。粉雪巻きて空は薄暗し。6時半解纜の金山渡船にて四日市一文字堤へ渡堤。昨年末より修繕の為に渡船を休止せしも、本日愈愈再開の運びなり。初便は20人程同船。思うよりも渡堤客は少なし。大半が新堤先端へと赴く中、中堤内側で鮎魚女を狙いてボタ底へ落とし込みを開始。潮は徐徐に満ちつつ有ると雖も動かず。岩虫を贖うこと能わずして、代用で太き青磯目を用いるに、時折鉤に掛かりしは餌の全長に届かぬ小笠子の類のみ。ボタ底を諦め、沖の竿下狙いに変更。9時半頃に漸く21糎の笠子を確保。潮が動きし頃合いか、爾後は漸次良型の笠子を掛けたり。10時を回りて天候回復。同時に風強く白波高まれり。11時の戻り船で帰港。釣果は20糎以上の笠子〆て4匹なり。持ち帰りて煮付けとせし。篠島で釣りし笠子の磯臭さも、舌上に於いて今回は微塵も感じられず。白身は滋味豊にて味わい深し。笠子の旨さを能く堪能せり。

令和6年2月24日(土)

令和6年2月24日(土) 晴れ
 神島行の鳥羽市営定期船は、鳥羽港佐多浜乗船場を7時40分に解纜。定刻8時20分、神島港へ接岸せり。答志島を過ぎ、伊良湖水道は白波立ちて些か畝り有之。然れども揺れは思うより少なし。結纜後、今月20日で竣工と仄聞せし大突堤先端付近の工事が、天候の加減で遅延を生じたる所為か、未だ立入禁止を解かれずと知れり。当てが外れるも已む無し。立入を許されたる場所で竿を出すより他に如かず。突堤へ上がりて沖合に浮かべる篠島を遠望す。距離は凡そ20粁弱。昨日は彼の地に於いて釣りを為したり。本日は鳥羽経由で4時間有余を費やして神島へ至る。誠に阿房奇特とぞ思い強めし。而して11時35分出帆の戻り船で神島を離岸せり。滞在3時間弱で釣れたる獲物は悉く小物の笠子のみ。須く全て海へと放ちたり。巷説に曰く、冬の神島は根魚の宝庫故、港内外何れも獲物に困らず。又或いは曰く此の地にて小物と言うは、内地沿岸で鉤に掛かれる良型と遜色無之。所詮は街談に過ぎぬと改めて認識したる次第なり。

令和6年2月23日(金)

令和6年2月23日(金) 天長節 雨
 長命寺川で本諸子を釣らんと算段せるも、天候は雨のみならず風強しとの由。釣遊先は已む無く篠島へと転進せざるを得ず。而して師崎港9時15分解纜の高速船で篠島へと渡島す。潮汐は大潮、底りは11時48分なれば、乗船場より10分程度の東部護岸へと歩みを進めたり。潮は引きて石積み下段迄が既に露わとす。先回は十分に引かざる潮と畝りに阻まれし、沖の沈められたる石の隙間も見えたり。頃合いは良しと、10時前より3.9米の竿を用いて餌の桜蝦を投入す。早早から穂先を抑え込む当たり有之。合わせれば10糎前後の笠子なり。速やかに放流す。続いても亦、鉤へ掛かれるは笠子にて賑やかなるも、型は20糎に満たず。正午前、微かに穂先を曲げし触り有之。糸を送り込み、漸次再び之を訊くに明確な嵩を手許へ感じられたり。間髪入れず合わせるに、石の隙間より浮きし魚体を見ゆ。魚肌の色合いは尺近き鮎魚女の模様なり。然れども瞬く間に反転す。更に隙間の奥へと潜らんと企図せるを阻まんと持ち堪え、竿の弾力を効かして強引に浮かせれば、一気呵成に海面より引き抜きたり。但し眼前に有之し獲物は鮎魚女に非ず。筍眼張なり。長寸26糎。鮎魚女に非ずと雖も、20糎を越えし型は近年見難し。時合到来なるか、続いても18糎の笠子を釣りたり。風向き変わりて畝りたる13時に納竿。篠島より踵を返し、帰途へと就きたり。持ち帰りし筍眼張は磯臭さを警戒し、酒と味噌で下煮の後、醤油、砂糖で味付けを為す。功を奏してか癖は無之。尤も元元味わい薄き魚故、旨味は久慈目は疎か笠子にも劣りし。次回は調理法に工夫を要さん。

令和6年2月17日(土)

令和6年2月17日(土) 曇り時時雨
 終日篠島で前打ち。師崎港7時の初発便で篠島へ渡島。10時過ぎ満潮の小潮なれば、先ずは南新堤近傍で竿を出さんと決す。船着場より徒歩にて20分程を要し、新堤手前の照浜港突堤へ到達せり。些か畝り有之。然るに風は弱し。海は透け気味にして、潮位高しと雖も、突堤下の石積みは見るに容易き。竿4.5米の前打ちで石積み狭間へ、餌の釜茹桜蝦を投入す。乃ち先週の残りなり。幾許か後、穂先入りて合わせるに、筍眼張を鉤先に捉えし。長寸18糎。20糎以下の根魚なれば放ちたり。次も直き釣れるに違い無之と浅慮が祟りてか、本日は之を最後に魚類は到頭一匹も掛からず。午前中に南新堤一帯で鉤へ捉えし生物は磯蟹と海鼠のみ。午後は潮引きて、前回に久慈目を釣りし東部護岸へ転進せるも、此の日は畝りの所為か、根掛かりを頻発し閉口す。終いに手持ちの伊勢尼鉤を使い果たしたり。15時25分出帆の便で師崎港へ帰着す。自然相手は思うに任せぬこと許りなり。

令和6年2月10日(土)

令和6年2月10日(土) 晴れ
 鮎魚女を釣らんと俄かに思い立ちて、師崎港9時45分解纜の高速船で篠島へ渡島す。9時55分着。篠島とは数えて20年近く疎遠なれば、釣況詳らかならず。不敢取は昔日の記憶を頼り、徒歩にて釣場を目指したり。凡そ半刻後、目指せる処へ到達す。但し立入禁止の表札有之。踵を返して他所を当たるも、加齢が祟りて脚力が及ばず。途上で断念す。已む無く乗船場近くの足場良き場所にて竿を出したり。以前訪島の折には見かけず。近年整備されしか。斜面に平置きされたる井桁状の混泥凝土塊が沖まで配置されし。海苔若しくは海藻の類、井桁に付着して根魚数多潜めると推定されたり。時刻は11時。12時半に底りなれば、既に海面下部分も相当露呈す。藻類に足場を取られぬよう歩を進め、7尺中通し竿、餌は釜揚げ桜海老を用い、隣接せる井桁塊の隙間へと投入せり。砂礫に埋まり穴は深からず。更に潮引きて沖の隙間の視認容易となり、漸く深き隙間へと投入叶いし。錘の着底を確認し、暫し俟ちたり。突如穂先が締め込まれ、刹那の合わせで海面より上げられしは、見当10糎程の笠子なれど、鉤より外れて落水す。続いて銀宝らしき長物を外したり。伊勢尼8号より5号に変更す。功を奏して先に釣れし程の笠子が鉤先に掛かれり。足場宜しく乗船場至近の処なれば、場荒れは避けるに能わず。而して小物許りは致し方無之。長竿に替え、沖の沈み根を狙うより他に術は見当たらず。一旦戻る可しと顧みるに、随分と遠くへと歩きたり。戻る手間を惜しみ、7尺竿の儘で続行す。暫し後、竿下に根魚が如何にも潜める様相の深き狭間が目に止まれり。投入の刹那、穂先の微かな抑え込みで合わせるに、待望の鮎魚女が掛かりし。長寸は23糎。胴太く魚体に黄金色を帯びたり。鮎魚女に如かず。近縁の久慈目なり。未だ残れりかと、同じ狭間へ落し込めば、復た久慈目を確保す。鮎魚女に非ずと雖も、釣果に不満無之。小物を屡屡釣りたる中、13時半に20糎の笠子を釣りて、波高まりし14時に納竿す。〆て3匹。14時25分出帆の便で篠島を後にす。帰宅後早早に、釣れし久慈目と笠子を煮付けたり。味付けは酒と醤油、砂糖のみ。濃い目に仕立てし。笠子は些か磯臭き癖有之。然れど久慈目の身は硬からず、身色は真白く木目細かし。舌触り宜しけれぱ、嫌な癖も感ぜられず。微かな甘みを含み甚だ旨し。久慈目は鮎魚女に劣るとの世評乍ら、食味に遜色無之。一入の味わいを堪能したり。